住宅密集地が多い都心部では、家の周りに十分な広さの庭が取れないケースも多いです。また、ガレージが必要な場合はその分の土地も必要になります。
そこで、狭小地の建てる家は「中庭」を作る設計が人気を集めています。「コートハウス」とも呼ばれますね。最近の注文住宅、建売住宅は周りを壁や窓に囲んだロの字型の建物の中や、コの字型の建物で中庭を作る事例がたくさん見られます。
今回は、そもそも住宅に庭があるメリットと、中庭の上手な作り方について解説します。
やっぱり庭が欲しい!
庭の意味とメリット
敷地の中で建物の配置を決めるときは、「建物、駐車場、庭」の3要素のうち、駐車場と庭の配置を決めることからスタートします。
庭は、たとえ小さなものでも建物に光や風を呼び込む大切なスペースです。
中庭を含めた庭を持ちたいと思うなら、まず初めに庭がどこにあれば、家の中が快適になるか?を考える必要があるのです。
庭は建物周囲のオープンな場所につなげて作る
庭から家の中へ光、風を呼び込むためには庭が道路、河川、公園、隣家の庭など、なるべくオープンなスペースへとつながっていることが理想です。庭の隣がすぐ周囲の建物の壁になってしまうと、光も風も通りにくくなってしまいます。
できれば南側にオープンスペースがある土地がベストですが、南側が空いていなくてもできるだけ周囲が開けている部分に庭を作るようにしたいです。
ただし、隣接する道路が北側にある場合は、庭を北側に設けると建物で影ができて暗くなるため、庭は南側に配置するのがベターです。
傾斜がある土地の場合は、眺望が良い谷側(低い側)にリビングを設けるのが一般的です。そこで、庭も谷側に配置することで、リビングから庭、周囲へとつなげて広がりのある庭ができます。
中庭を設ける意味とメリット
中庭の役割
中庭の基本的な役割は、主に周囲とのスペースに余裕がない土地で、家の中に屋根のない場所を作ることで、通風や採光を良くすることです。
たとえ2~3畳程度の坪庭でも、家の中に光が入ってくる場所があるだけで、お部屋の明るさや風通しは格段に向上します。
各部屋をつないでまとめる
中庭は、庭を囲んでいる各部屋をつないで一体感を持たせる役割もあります。庭を通って近道したり、庭をリビングの延長としたりして使うことで、より家族の存在を感じながら過ごせるため安心感が得られるという人も多いです。
自然通風で省エネ
最近の住宅は高断熱、高気密仕様で堅牢な壁やサッシで囲まれ、計画換気によって一年中快適な住まいを実現することができるようになりました。
窓やドアを開けなくても快適になので、あまり自然換気をしなくなったという人もいます。
しかし、断熱性と計画換気があれば自然の風を入れる自然通風を計画しなくてもよいのかというと、決してそうではないと思います。
流行している新型コロナウイルスの影響もあって、さまざまな室内の換気方法への関心が高まっています。そして、改めて自然な通風による換気にも注目が集まっています。
自然の風を利用することは、エアコンの使用を減らして省エネルギーになります。また、自然の風による換気は、化学物質などで汚染された室内空気を素早く新鮮な外気に入れ替えることができます。
自然の風は、日本の魅力である四季を感じる要素でもあります。人間が気持ち良い、快適と感じるのは、やっぱり自然の風ですよね。
家の外周の窓、玄関、テラスなどの開口部から、中庭まで自然に風が抜ける設計にすることで、まるで中庭を家の換気扇のようにすることができます。
中庭に限らず、庭を作るときは、庭を通して自然の力を利用して快適な空間を作るという点も意識して、その他の部分の設計を考えてみましょう。
プライベートなアウトドア空間
住宅密集地では、隣家や道路からの人の目が気になって窓を開けたくないという人も多いです。これが、自然通風が減ってしまう原因でもあります。もちろん、プライバシーに配慮した窓の配置を行うことは大切ですが、家の耐久性確保の面からどうしても希望の場所に窓がつけられないこともあります。
中庭は、密集地の住宅にありがちなこうした閉塞感、息苦しさを緩和してくれます。周囲の目を気にせず外の空気が吸える空間はとても貴重ですよね。屋外用のちょっとした椅子やテーブルを設置すれば、よりくつろげる空間になります。
建物で囲まなくても中庭は作れる
中庭というと、コの字やロの字型のように四方、または三方を家の壁や窓で囲まれた形式をイメージしませんか?
実は、中庭のパターンはもっとたくさんあります。建物で囲まなくても、庭と道路の間をルーバーで囲んだり、リビングと玄関ポーチの間に緑のスペースを作ったり…色々な工夫で、小さくても沢山のメリットがある庭が作れるのです。
間取り術・中庭のパターンいろいろ
庭に面する外周をルーバーで囲む
庭と道路、隣家が接する部分を目隠しルーバーで囲むことで、プライベート感のある庭をつくることができます。
ルーバーは、一定間隔に隙間を開けた仕切りのようなもので、周囲からの視線を適度に遮りながら、採光や通風も得ることができます。
外周壁や板塀で囲む
外壁の外側を囲むように外周壁を設ける方法は、特に都市部の住宅密集地で有効です。外壁と外周壁の間が室内と屋外の中間領域となり、ここに庭を作れば幅広い用途に使えるスペースになります。
外周壁は、それだけでは閉塞感が出てしまうので、室内からの視線、周囲からの視線を考えて適当な位置に開口部を作りましょう。
玄関前ポーチで庭を囲む
玄関前にポーチを作り、リビングとポーチで囲まれた庭を作るのもおすすめです。特に、住宅街の南道路の場合は、南側に庭とリビングを作りたいけれど、プライバシーや防犯性が気になるという人も多いです。玄関ポーチによって公私の境界をゆるやかに示すことができ、庭とポーチでリビングや玄関への周囲の視線を適度に遮ることができます。
中庭のある家の施工例
リビング、ダイニング、和室から中庭に入ることができる間取りです。オープンな間取りのため、中庭からの光や風が家中を通り抜け、とても明るくなっています。中庭が家をつないでまとめる役割を果たしています。
まとめ
中庭は住宅密集地でも緑を目にすることでリラックスできるほか、採光や通風の面でも大きなメリットがあります。
代表的なロの字型やコの字型でなくても、工夫次第でプライベートなアウトドアスペースを作ることは可能です。
土地の状態や周囲の建物、道路などの環境によっても、ベストな庭の位置や大きさは変わってきます。
ぜひ、快適で安心、くつろげる中庭づくりの参考にしてみてくださいね。
ウェルホームとつくる理想の暮らし
ウェルホームでは、お客様の希望や願いを叶えるお手伝いをしています。
例えば、『1年中Tシャツ生活』をコンセプトに、優れた高気密・高断熱性能で、開放的な空間を保ち、室内のどの場所にいても快適に過ごせる中庭のある家はいかがでしょう。
家族の時を刻む「住まい」としての機能性、さりげない個性。シンプルで飽きのこないデザイン。 ウェルホームの住まいは両方を兼ね備えています。片流れのシャープなデザインと、 居室空間を光で包み込む大きなファサードを持ちながら、気密性・断熱性を損なわない快適性能。 大きすぎず小さすぎない等身大の居室空間は、四季の移ろいが美しいガーデンにまで伸びゆくような開放感を醸します。 オープンエアな空間を楽しむ暮らしのご提案です。