住宅の構造には木造系と鉄筋系がありますが、国内の戸建住宅のほとんどは木造であると言われています。その要因としては低コストであることや、間取りの自由度が高いことなどが挙げられます。
本記事では、そんな木造住宅の特徴と、長所・短所について解説していきます。改めて、木造住宅の良さを感じてみましょう。
住宅の構造を大まかに分けると、以下の3つのタイプに振り分けられます。
・木造住宅
・鉄筋コンクリート住宅(RC構造)
・鉄筋鉄骨コンクリート住宅(SRC構造)
鉄筋コンクリートや鉄筋鉄骨コンクリートは、主にマンションを中心に採用されている構造で、日本の戸建て住宅の約9割は木造住宅であるとされています。
ひとえに木造住宅と言っても、その中でさらに工法によって区分けされます。日本の伝統的な工法である「木造軸組工法」による住宅、使われる製材の断面サイズから名づけられた「2×4(ツーバイフォー)工法」による住宅など、それぞれに特徴があります。
また、鉄筋コンクリート系も工法によって「鉄骨系住宅」、「コンクリート系住宅」、「鉄骨系ユニット住宅」などに分類は様々。もちろん、こうした鉄骨系を採用しているハウスメーカーや工務店もあります。
そんな中、国内の住宅のほとんどが木造住宅で占められていることには、どんな理由があるのでしょうか。そのメリットを探っていきましょう。
まず、木造住宅が多くのハウスメーカーや工務店に採用される理由として「建築コストの安さ」が挙げられます。
これを理解するためには、鉄骨系の特徴も把握しておく必要があります。鉄やコンクリートは断熱性が低く、木のような調湿機能もありません。ただ、そのままでは「暑くて寒い、じめじめした家」になってしまうため、別途断熱材などを採用することで、そうした性能を補っています。
こうした材料にかかる費用を比べた時に、木造住宅の方がより低コストで済むのです。最近シェアを伸ばしているローコスト・ハウスメーカーなどもこの構造を採用しています。
さらに、木造軸組住宅に関して言えば、間取りを自由に組みやすいというメリットもあります。この工法は「伝統工法」とよばれているほど、旧来から使われていたもので、そのために実績があり、さらに増改築にも容易に対応できます。例えば、中古住宅を購入してリノベーションするような場合は、この工法の住宅を選ぶと良いでしょう。
また、木はもともと自然のものであり、日本人とも馴染み深い材料ですから、囲まれているだけで「落ち着ける」空間になるというプラス要素もあります。温かみのある家を作りたいのであれば、木造住宅はピッタリの構造と言えますね。
そして、木造住宅は万が一の時、家族の命を守る機能があることも見逃せません。例えば家が火事になってしまったときに、家族みんなが無事に避難できる構造を持っています。木の構造って燃えやすくてすぐに構造が崩れちゃうんじゃないの?と思われるかもしれません。
木が燃えやすいのというのは正解なのですが、それで木造の構造が崩れやすいという点は少し違います。木は火にさらされた際に表面が炭化していき、炭化したところからはなかなか燃え進まないという特徴を持っています。この炭化が木の構造としての強さを維持する時間を確保します。
つまり、木造住宅はいざというときにも家族が避難するまでの時間を確保できる安全な家とも言えるのです。
ここまで木造住宅のメリットを紹介してきましたが、デメリットもありますので、紹介しておきましょう。
まず、強度の面では鉄骨系には劣るということです。強度に劣るということは、耐震面や耐久性については、鉄骨系ほど期待はできません。また、シロアリ被害を受けてしまうのも木造住宅ならではの短所です。
しかしながら、特に木造軸組住宅を中心として、国内において木造住宅は長い期間にわたる実績を作ってきました。こういった耐震性・耐久性などについては、それを補完するためのノウハウが十分に培われているということは覚えておきましょう。
木造住宅のメリット・デメリットを紹介してきましたが、やはり一番のポイントは、木造が古くから培われてきた造り方であり、洗練された技術がそこに蓄積されているということです。
ただし、それが故に工務店によって「工事品質」に差が出てしまうのも事実。木造住宅を建てる際は、信頼のおけるハウスメーカーや工務店を選ぶことが重要なポイントになります。
依頼する会社を選ぶ際は、購入後に後悔しないためにも、地元での評判や、そのハウスメーカー・工務店で建てた人の声をインターネットで拾うなどしておきましょう。