家のなかで、同じようなところを行ったり来たりした経験や、使いたいものがすぐに取り出せない、しまえないといった経験をしたことはありませんか?
日常の家事において、家事動線が悪いと家事の効率が低下してしまい「使い勝手の悪い」家となってしまいます。家事の効率が悪くなってしまう原因は、家の間取りにあるのです。
そこで今回は、家事の効率を高める家事動線のよい間取りの考え方について紹介していきます。
目次
■家事動線の悪い間取りが良くない理由
■家事動線を確保する間取り設計のコツ
■家事動線を意識した間取りの施工事例を紹介
■まとめ:間取り設計は家事動線を意識して住みやすい家づくりをしよう
家事動線の悪い間取りが良くない理由
家事動線が悪い間取りだと、普段の暮らしにどのような影響がでてしまうのでしょうか。実際に家事動線が悪い家に住んでみると、生活していくうえで不便に思うことが多々あるでしょう。ここでは、家事動線が悪い間取りの家の特徴を紹介していきます。
・家事の効率が悪くなる
家事動線とは、日常の掃除や家事をする人の動きを表す線のことを指します。人が移動した際の動きを線で表したものを動線と呼びますが、住宅内においては「生活動線」と「家事動線」の2種類が一般的です。
ここでいう家事動線は、調理や掃除、片付けや洗濯といった家事全般を行う際の人の動きを表した線となります。この家事動線が長い(=移動距離が長い)とそれだけムダな動きが多いとされ、家事にかかる時間も増えてしまうのです。
家事はできるだけ短い時間で済ませたいでしょうから、家事の際移動が長くなり時間がかかってしまうと、家事効率が悪くなってしまいます。
・余計なスペースが生まれてしまう
家事動線が悪いと家のなかを必要以上に移動しなければなりません。その結果、本来であれば必要のないスペースが生まれてしまうのです。たとえば、収納スペースが小さかったり、必要なものをすぐに取り出せないような状況になってしまうと、一度使ったものをわざわざしまおうとせず、出しっぱなしになってしまうことがるのです。
再度取り出すのが面倒になってしまうので、その都度しまわずいわゆる「中継地点」のような場所が家のあちらこちらにできてしまいます。これはキッチンや洗面所、リビングにおいても同様のことがいえるのです。
そうなってしまうと家のなかが散らかってしまうだけでなく、本来であれば別の目的で使用できたはずのスペースもなくなってしまいます。
・住みにくい家になってしまう
家のなかでの移動距離が長い、そこら中に中継地点のような余計なスペースがある、このような家は決して住みやすい家とは呼べません。快適な家にするためにはできるだけムダな物をなくして、家のなかを広々と使えることが理想的です。
そのために、いかに家事を効率よく行える動線を確保するか、家のなかをスムーズに移動できるかといった点を意識した間取り設計が重要となります。
家事動線を確保する間取り設計のコツ
では実際に家事動線を確保し、家事を効率よく行える間取りとはどのようなものなのでしょうか。家事動線を確保する手段はいくつもあり、それらは家族構成やライフスタイルによっても変わります。
ここでは、家事を効率よく行える家事動線を確保する間取りのアイデアをいくつか紹介していくので、参考にしてみてください。
・2階建ての家はリビング階段で動線を短縮する
リビング階段を設置することで家族とのコミュニケーションがとりやすいといったメリットがありますが、家事を行う際にも同様にメリットとなります。たとえば、洗濯物を2階のベランダに干すときや、掃除をするときなど、わざわざ階段を昇るためにリビングを出て廊下を歩く手間が省けるのです。
たいした距離には感じないかもしれませんが、このような小さなことでも日々の積み重ねによっていずれ大きな不満となることもあるので、移動距離の短縮という意味ではリビング階段も家事動線を効率よくするための手段といえるでしょう。
・ランドリールームやサンルームを活用する
家事の代表ともいえる洗濯ですが、ランドリールームやサンルームを設置することでさらに効率化を図ることが可能です。ランドリールームは洗濯物を収納したり、物干し空間として利用できる、いわば洗濯専用のスペースのことです。
一方サンルームは、壁3方面と天井をガラス張りにすることで日が差し込み、洗濯物を干すスペースとして利用できます。これらのスペースをつくることにより、間違いなく洗濯の効率は向上するでしょう。
なお、サンルームは急な雨でも洗濯物が濡れなかったり、洗濯を干していない間は子供の遊び場としても利用できるため、非常に使い勝手のよいスペースとなるでしょう。
・玄関の間取りも工夫する
家事動線と聞くと掃除や洗濯を思い浮かべ、キッチンや水回りといったスペースの動線確保ばかりを改善してしまいがちですが、玄関周りの間取りも動線確保にとっては重要となります。
掃除はもちろん、家族の靴やレジャーグッズといったものに対しての収納スペースとして玄関周りは利用できるのです。その際、シューズクロークなどの設備があると収納がしやすいだけでなく、直接玄関を介すことなく家のなかに入ることも可能となります。
とくに朝の時間帯などは玄関が混雑しがちなので、そのようなスペースがあると快適に玄関を利用できるでしょう。
・キッチンのパントリーを収納スペースとして活用
パントリーとは、キッチン横に食材のストックや調味料といったものを収納できるスペースのことです。パントリーを設置することで収納性が向上し、キッチンに物が乱雑することを防いでくれます。
調味料の予備、缶詰、飲料、インスタント食品のような常に使用するわけではないものは収納を圧迫してしまうため、パントリーに保管しておくことでキッチンスペースには普段使用するものだけをだしておくことが可能です。
整理整頓ができているキッチンは見た目もよく広々と使えるため、家事の効率も向上するでしょう。
家事動線を意識した間取りの施工事例を紹介
効率の良い家事動線が確保できている間取りの家は、住んでいて暮らしやすさを感じることができます。また、毎日の家事の負担を減らすことで心の余裕もできるため、より質の高い生活を送ることができるでしょう。
ここでは家事動線を上手く確保している間取りについていくつかの実例を紹介していきます。
キッチンスペースを広く確保することで調理の効率が向上します。また、人が2人通れるほどの幅があるので移動がスムーズになるだけでなく、お子さんがいる家庭では子供が大きくなった時に一緒に料理を楽しむことも可能です。
壁面収納を上手く活用することで、リビングスペースをより有効的に使用できます。間取りの広さに限界はあるため、スペースを効率よく活用するためには、できるだけ収納がメインにならない間取り設計をすることが重要です。
玄関に奥行きをもたせたり、大きめのシューズボックスを利用することで整理整頓がしやすく、片付けも楽になるでしょう。
パントリーを設置することでキッチン周りの収納がしやすく、キッチンをきれいに広々と使用することができます。余計なものをキッチンに出しておくことがないため、調味料や洗剤などで散らかってしまうことを防げるでしょう。
まとめ:間取り設計は家事動線を意識して住みやすい家づくりをしよう
今回は、家事動線を確保することでより快適な暮らしを送れるということについて紹介しました。間取り設計は家を建てる際重要となりますが、家族の部屋やリビングの内装にこだわるといったことと同じように、家事動線にもこだわって間取りを考えてみることをおすすめします。
家事は暮らすうえで欠かせないものであり、家事をする人の負担を少しでも減らすためには、少しでも家事が効率化する間取りであることが望ましいです。
ぜひこれから新しく家の購入を検討しているという方は「家事がしやすい間取りの家」というスタイルも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。