憧れの注文住宅。自由な間取り設計と好みのデザインで理想の家づくりをしたいと考える方も多いでしょう。しかし、注文住宅を購入する際には土地代や建築費のほかにも支払わなければならない諸費用がいくつか存在します。
諸費用は住宅を購入する際必ず必要となるものなので、費用の内訳やどれくらいの金額を支払うのか事前に確認しておくとよいでしょう。そこで今回は、注文住宅購入にあたり、かかる諸費用の内訳や相場について解説していきます。
目次
■注文住宅購入にかかる諸費用はトータルいくらくらい?
■「諸経費」との違いは?
■注文住宅購入に必要な諸費用の相場と内訳一覧
■注文住宅購入にかかる諸費用を安く抑えるコツ
■まとめ:注文住宅の諸費用はあらかじめ余裕をもって用意をしておくことが必要
注文住宅購入にかかる諸費用はトータルいくらくらい?
注文住宅を購入する際、2,000万円の土地を購入し、1,500万円(建築費)の建物を建てた場合の諸費用をシミュレーションしてみましょう。まず土地の契約には仲介手数料・印紙代・登録免許税で約100万円前後かかります。また、土地の購入には通常「手付金」が必要となり、土地の販売価格の10%程度になるため約200万円です。
一方、建物の登記・地鎮祭・水道加入代などで最低でも建築費の4%ほど。1,500万円の建築費の建物だと約56万円前後です。また、建築士に設計を依頼した場合10~15%が設計料となります。これらを合わせると約266万円前後となり、さらにここに住宅ローンの諸費用が加わるのです。
住宅ローンの諸費用で最も高額なのがローン保証料ですが、これまではローン契約時に長期契約だと数十万円の一括金が必要でしたが、現在では1年ごとで数万円のわずかな費用での契約も可能となっています。
これまでの総額は土地契約時の手付金を含めると475万円となり、土地代や建築費を合わせた3,500万円の13.5%の金額となりました。これらは現金で支払うため、最低でも手元に用意しておかなければならない金額の参考にしてみてください。
「諸経費」との違いは?
注文住宅を建てる際、諸費用に似た言葉として「諸経費」という費用がかかります。諸経費は建物を建てる際の手続き上必ずかかる費用のことです。諸費用と違い内訳が多いため、見積もりでは諸経費とひとまとめにされていることが一般的になります。
・現場経費
現場経費は、その現場で建物を完成させるために必要な費用です。主に作業人員の労務管理費・保険料・福利厚生費・事務用品費といった、現場を運営していくうえで必要なコストを指します。
・一般管理費
一般管理費は会社を運営していくうえで必要な経費であり、そのうち各現場が一定の割合で負担するコストを指します。具体的には広告宣伝費・事務所家賃・交通費・通信費・租税公課などです。
これらの諸経費は建築会社を運営するのに必要なコストであるため、一般の人には関係がないように思われることもあるでしょう。また、諸経費には具体的な金額の決まりがなく、建築会社によっては施工全体の5%~20%とバラつきがあります。
諸経費の内容について疑問に思うことがあれば遠慮せず質問することが大事であり、場合によっては交渉によって安く抑えることも可能なこともあるでしょう。しかし、諸経費には写真代や現場管理者の管理費といった、しっかりと施工を行ううえで必要な経費が含まれているので、一概に安ければよいということではありません。
注文住宅購入に必要な諸費用の相場と内訳一覧
注文住宅購入にかかる諸費用は、土地を買うとき、家を建てるときなど、場面に応じて必要な諸費用が異なります。また、それぞれ相場が決まっているため、あらかじめ予算計画を立てる際には各々諸費用の内訳と相場を把握しておくことが重要となるでしょう。
・土地を購入する際かかる諸費用
①仲介手数料
土地を購入時、仲介してくれた不動産業者に支払う手数料
・売買価格200万円以下:物件価格×5%×1.1(消費税)
・売買価格200~400万円:(物件価格×4%+2万円)×1.1(消費税)
・売買価格400万円以上:(物件価格×3%+6万円)×1.1(消費税)
②登記費用
所有権移転登記に必要な登録免許税
・土地の評価額×1.5%
※軽減措置を適用する場合
※ローンを組む場合は借入額に対して「抵当権設定登記」が必要
③解体費用
・古家を解体・撤去するための費用:150万円~300万円前後
④固定資産税および都市計画税
土地を購入する際にかかる税金(自治体に納税)
・土地の評価額×0.5×3%
※軽減措置を適用する場合
⑤印紙税
土地の売買契約書に貼る印紙代
・1,000万円~5,000万円の土地の場合1万円
※軽減措置を適用する場合
・建物を建てる際にかかる諸費用
①地盤補強費
地盤改良が必要だと判断された際にかかる費用
・1坪あたり2万円~5万円前後
②上下水道ガス引き込み費用
水道管を引き込んだり、プロパンガスを都市ガスに変更する際必要な費用
・上下水道の引き込み工事は約60万円~100万円前後
・都市ガスの引き込み工事は約20万円前後
③印紙税
建設工事請負契約書に貼る印紙代
・1,000万円~5,000万円の土地の場合1万円
※軽減措置を適用する場合
④登記費用
建物の所有権を登録する際の登録免許税
・司法書士に依頼する場合8万円~10万円前後
・建物の評価額×1%もしくは1.5%※軽減措置を適用する場合
⑤水道加入金
水道施設の設備費を一部負担する目的で徴収
・2万円~66万円程度
※自治体、水道管の口径などによって異なる
⑥地鎮祭
建物の建築を開始する前に行う儀式にかかる費用
・5万円前後が相場
・住宅ローンを契約する際かかる諸費用
①保証料
保証会社に支払う費用
・一括払いの場合、借入額×2.2%(2%+税)
※内枠方式だと年数万円程度
②登記費用
抵当権設定登記に必要な費用
・借入額×1%
軽減措置を適用する場合
③火災保険料
火災保険への加入に必要な費用
・15万円~40万円前後
※最長10年を想定、補償額・補償内容によって変動
④地震保険料
地震保険への加入に必要な費用
・1,000万円あたり5万円前後
注文住宅購入にかかる諸費用を安く抑えるコツ
注文住宅購入の際かかる諸費用はいくつもの種類があり、条件によって種類や金額が異なります。そのため、あらかじめかかる諸費用の内訳や相場を理解することは大事ですが、なかには費用を安く抑えることができるものもあるのです。
・土地の仲介手数料を交渉する
・住宅ローンは金利の安いところを選ぶ
・登記を司法書士や土地家屋調査士に依頼する場合価格交渉する
このほかにも減税制度・すまい給付金・各補助金といったものがあるので、住宅購入時にかかる費用を節約することが可能です。
まとめ:注文住宅の諸費用はあらかじめ余裕をもって用意をしておくことが必要
注文住宅を購入する際にかかる諸費用は原則現金での支払いとなります。そのため、ある程度の現金を手元に用意しておく必要があり、それらの支払いに備えておかなければなりません。
諸費用は土地の購入や家を建てる際など支払うタイミングもそれぞれ異なるので、いつ支払わなければならないのか、あらかじめ金額や内訳を把握しておきましょう。
諸費用の中には交渉やプランの選択で費用を安く抑えられるものがあるだけでなく、住宅を建てる際の補助金や減税制度などを利用することでコストを大幅に抑える方法もあります。それらの制度を活用し、コストを賢く節約できれば違う部分にお金をかけることも可能です。
今回の記事を参考に、これから注文住宅を建てるという方は計画的な予算配分を行っていきましょう。